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アンダンテとエターナルを天秤に
(大切に大切にしたいから僕は片方を捨ててきたんだ結局君より愛おしいものなんか見つけられやしないんだからそれは正解だよ)






ホグワーツに来るとき泣く泣く家に置いてきたあのかめはどうしただろうか。ごはんちゃんと食べてるかしら。散歩は適度にしているかしら。 しょうもないことのようで実は結構気にしていたりしなかったり。(どっちだよ)




「なんで、かえるはいいのにかめは連れてきちゃいけないのかしら」
「・・・・・・、・・・かめ・・?」




シリウスが怪訝そうな顔をして、聞こえたとおりに聞き返す。私はそうよ。とだけ答えた。




「かめって、あのかめか・・・・?」
「そうだってば。ブラック家のぼっちゃんはかめも知らないの?」
「(かちん!)んなもん知ってるに決まってんだろーが」
「まあ、そりゃそうだよね」
「(もうなんなんだこいつ)」




私は談話室の少し古びたソファに膝を抱えて小さくなって座った。 なんだかこうしているといじめられっこのように見えるけれど、別にそういうわけではないのです。 私みたいな奴をいじめるなんていう物好きはきっとホグワーツ中探してもいないだろうからね。 ほら、だっていじめるっのって好きの裏返しっていうじゃない?私を本気で好きだなんて物好きいるなら会ってみたいもの!(わはは)




というよりも私は目の前にいるやつに好いてもらえればそれだけで満足だから、そういうことが言えるのかもしれないなあ。 欲張るのはよくないでしょ?だから私は目の前のこいつだけに絞ったって言うわけよ。私一途だから浮気ってのできないんだよね。(以前これを友達に言ったらぱこんって頭を軽く本気ではたかれた)




「あのね、ここに来る前に日本に置いてきちゃったのよ。かめ」
「へえー、そんで?」




シリウスはさも興味なさそうにそう言った。口と耳は私用に残しておいてくれてるみたいだけれど、顔は全然そっぽを向いている。 目は、ばさっと格好つけて広げた日刊預言者新聞の見出しにしっかりと向いている。 私は白黒写真の中で忙しく動くじいさん魔法使いと一回だけ目があったような気がした。じいさん魔法使いはにこりと愛想笑いを向けてくれた。私もにこりと愛想笑いをうかべたけれど、それを見ていたシリウスに心底気持ち悪そうな顔をされた。 傍目から見ればそりゃ気持ち悪い人間に見えたかもしれないけど・・・そんな露骨な顔しなくたっていいじゃんか。




「うん。それでそのかめね、すっごく歩くのが遅くてすごく私に懐いてくれてたんだー」
「ほー・・・・(かめに懐くもなにもあるのか・・・?)」
「私が幼稚園くらいのころからなぜか家にいてさー、 「ほーそんで」
「うん、で知らず知らずのうちに仲良しになってたってわけよ」
「そりゃーよろしいこってな」
「でしょ!すっごく可愛くてさー。なんつーか暇なときは構ってたんだよねー」
「・・・・・それってあんまし可愛がってるって言わねえんじゃねえの・・・?」
「・・・・・・・・かめって長生きなんだよねー」
「・・・・(くそ話そらしやがったこいつ。しかも露骨すぎるんだよ)」




私がかめについて話す間シリウスはやっぱり目を新聞の記事から離そうとはしなかった。 羨ましいくらいにすらりとのびた足をさっと組みかえた動作がむかつくくらいに、ひどくかっこよく見えた。 私は紅茶のカップを両手で軽く支えていたけれど、少し気を抜けばごとりと音をたてて落としてしまいそうだった。 こなごなに割れたティーカップの片付けってめんどくさいんだよね。(いや、落とすと決まったわけじゃないんだけどね・・!)




「・・・・そのかめさ、この間いなくなっちゃったんだって」
「・・・・・へ・・・・」
「お兄ちゃんがこの間ふくろう便で送ってくれたの」
「へえ。ってかお前兄ちゃんいたんだな」
「うん。いたよ。あれ、言わなかったっけ?」
「おう。初耳」
「あれま。でもリーマスには言ったような気がしてたんだよね・・」
「・・・・(なんかむかつくな)」
「だからシリウスにも言った気でいたのかなあ」
「そうかもな(やっぱりなんかむかつくな)」
「そっかー。やっぱり長生きっていってもかめも待ちくたびれちゃったんだね。あはは」




やっぱりシリウスはそれ程興味はなさそうだったけれど、なんとか返事は返してくれた。 彼はかめのことよりも私にお兄ちゃんがいたことのほうが驚きだったらしい。(んー言ってなかったっけなあ・・?) がさりと新聞紙独特の音を発しながら、シリウスはまた新聞のをめくった。




「かめだって一生は待ってられないんだよ。うん」
「ああ、そりゃそうだろうな。ってかお前さびしいとかねえの?」
「んーそりゃさびしいかもしんないけど、やっぱり・・」
「やっぱり何」
「今は一緒にいないから少しは薄いかも。そういうの」
「薄情なやつだな。かめもかわいそうなこって」
「あら、シリウスったらうちのかめのこと心配してくれるの?やっさしー」
「別に心配とかってわけじゃねーし」
「ふふー。まあ、かめはもう自由の身になったって思えばそこまでさびしくないのよ」
「そいつはよかったな」
「もーシリウスそればっかだな!あ、あとそれにね、」
「・・・・・、・・・なんだよ・・?」




私はそこでいったん会話を区切った。シリウスはやっと食い入るように読んでいた日刊預言者新聞から顔をあげてこちらを見た。 そして彼はせっかちに私の紡ぐ言葉の続きをうながそうとする。 少しいらいらとして続きを待つ彼とは対照的にゆるく、ゆっくりと私は口を開いた。




「シリウスとかがいるからあんましさびしくないよ」




シリウスはとても驚いた様子だった。まさに鳩が豆鉄砲を食らったような顔とでもいった表情だった。 容姿がとても整っていて、女の子にきゃーきゃー言われている時のようなすかした表情とは全くかけはなれていた。 へへん。ざまあみろい!度肝抜いてやったぞ!わはは。




しばし動きが止まって何も言わなかったシリウスだったけれどそのすぐあとに、はははと笑って、んじゃ一生一緒にいるか?と言った。 何言っちゃってんのこいつ。と思った。今度はこっちが驚く番だった。くそう。 そうやってすぐにいい意味でも悪い意味でも人のことを見下ろす立場に立てるこいつがめちゃくちゃすごいと思った。 それでも私は、冗談半分にでもやっぱりほとんど本気でこう言った。




「私、かめみたいにあんまし待てないからとりあえずずっと一緒にいてね」






てゆか、しょうがないよかめには申し訳ないけど今一緒にいるシリウスとかのが断然大切だもんさ。













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やっぱり君のぬくもりが一番だからさ